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ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑧ ふつうのこと 

ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑧ ふつうのこと 

こんにちは 看護部門・副管理者の大塚です。
~私が訪問看護の世界に飛び込んで、かれこれ20年。「昔もあって、今も変わらないもの」
「今までも、これからも大切にしたいもの」そんな日々の想いを、ぼちぼちお届けいたします~

先日、県立こども病院での1日病棟実習に参加させていただきました。
研修生として教わる立場は久々で、私は少々緊張感を感じながら、実習病棟に向かいました。
私の小児病棟のイメージは、「大人の病棟とは違って、お子さんばかりの病棟なので少しにぎやかなのだろう」と思っていたのですが、うかがった病棟ではとても静かに静かに時間が流れていました。
私が担当させていただいたKくん。今日はお風呂です。
ちょうどお母さんが付き添われていて、お風呂の順番が来るまで、お母さんと少しお話しさせていただくことができました。

何度も入退院を繰り返し、今年は1度も学校行事に参加できなかったこと。
退院後の初日の登校は、必ず1日付き添わねばならないこと。
酸素吸入が開始になったことで手続きを踏まねばならず、すぐには登校許可が出ないこと。
お母さん自身が何度も仕事を休まねばならないこと。
Kくんの弟の為の時間をなかなか作ってやれないこと。
最後にお母さんは、
「特別なことは何も望んでいません。学校へ登校して、友達と過ごして、家に帰ってくる。
ふつうのことなのに・・・。それが叶わない。」Kくんの寝顔を見ながら、そうおっしゃっていました。

医療の発展とともに、たくさんのお子さんの命が救われるようになりました。
しかし、病院を出てからの「命の行き場」の整備はまだまだ追いついていないのが現状です。
浦安市は、数年前から市内の学校・保育園にて医療的ケアが必要なお子さんの受け入れ、看護師を派遣する事業を行っています。
当事業所は委託を受け、学校や保育園に看護師が訪問し、学校や保育園に通われるお子さんたちの医療的ケアのお手伝いをさせていただいています。
まだ始まって数年の事業でありますし、訪問看護ステーションが学校などに訪問し、医療的ケアの介入をしているところは珍しく、課題や改善点・検討事項がたくさんあります。
また、対応させていただく私たち看護師スタッフも、自宅や病院とは異なるフィールドでの業務ですから、正直なところ不安や戸惑いがないわけではありません。

『ふつうのことが、ふつうにできる。
お子さん自身も、そのご両親も、自分自身の人生をあきらめない』
そのための支援の1つとしてこの事業が確立していくよう、私もあきらめないでやっていこう!
改めて、そんな決意をした1日でした。