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「ぼちぼち訪問看護~回想録~その③ 背中を押すという事」
こんにちは 看護部門・副管理者の大塚です。
~私が訪問看護の世界に飛び込んで、かれこれ20年。「昔もあって、今も変わらないもの」
「今までも、これからも大切にしたいもの」そんな日々の想いを、ぼちぼちお届けいたします~
エレベーターを降りると、エレベーターホールの鏡に白衣姿の私が写っていました。
自分の姿を見ながら深呼吸して、アポなしで総婦長室に向かいました。
私は総婦長に向かって、
「私は訪問看護を目指してこの病院に就職しました。病院の取り決め通り、病棟経験も積みましたので、来季からは訪問看護科への配属をお願いします。そのためにこの病院に就職しましたので、それがかなわないなら、私は退職します。」と一気に喋りました。
総婦長は「あなたの気持ちはよくわかりました。」と一言。
私が総合病院の看護師となった駆け出しの頃の話です。
今思うと「大胆」と言おうか、「若気の至り」としか言いようがありませんが、それによって私は訪問看護科に移動となり、そして今の私がある訳です。
保健師学校卒業前に、就職先について「○○病院に就職して訪問看護を目指したい」と私の考えを教員に相談したところ、何を馬鹿なことを。と言わんばかりに大反対を受けました。
私は迷って、看護学校時代に卒業論文でお世話になった恩師を訪ねて相談しました。
「あなたの考えはとてもいいと思う。やってみたいと思うなら、ぜひやってみなさい。応援しているわ。」
そう言われ、私は背中を押された気がしました。
今までも決断に迷った時、その言葉に何度も背中を押されてきたように思います。
あの時、総婦長室へ向かう私の背中も押し続けてくれていました。
訪問看護を利用していただく方、またそのご家族も、自宅療養中に決断をしなくてはいけない場面があります。―治療を受けるのか・受けないのか―
―どこで最期を迎えるのか―
そんな決断さえ求められることもあります。
「どうしたら良いか分からない。」
「本当にこれでいいのだろうか。」
人生や命にかかわるような決断であることが多いので、多くの方は迷い、気持ちが揺れます。
そんな時、
私自身の価値観や、看護師としての考えの押し付けではなく、ご本人とその家族が、最良と思える決断をご自身でしていただけるように。
そして、決断されたことについては、訪問看護師として全面的に支援する姿勢で。
そんな風に背中を押せたらと思っています。