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「ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その⑮ 眠れない夜に」
こんにちは 看護部門・副管理者の大塚です。
訪問看護に携わって気が付けば20年余り・・。
「昔もあって、今も変わらないもの」「今までも、これからも大切にしたいもの」をぼちぼち綴ります。
オンコール当番の夜。電話が鳴りました。
「夜分にすみません。父のことで相談です。どうしたら良いかわからなくて・・。」
心配そうで、そして、夜に電話した事が申し訳なさそうな娘さんの声。
しばらく娘さんとのやり取りの後、今からうかがって様子を看させていただく事を提案しました。
「本当ですか!来ていただけるのなら、お願いします!」娘さんの声が少し明るくなりました。
(うかがって、対処ができて、何とかなりますように)私は内心ドキドキしながら、利用者さんのお宅へ車を走らせます。
―1時間後。
「それでは、失礼しますね。おやすみなさい。」と私。
「こんな夜中に来ていただいて、ご迷惑をかけてすみませんでした。」大変申し訳なさそうなご本人。
私が「こういう時の為の私達なのだから、『すみません』は無しですよ。」と声をかけると、少しほっとした表情をされました。
オンコール当番の夜。いろいろな夜があります。
一度も電話が鳴らない夜。
夜中に電話が鳴ったような気がして何度も目が覚める夜。
お看取りの方が「いよいよ今夜かも」と、緊張して過ごす夜。
日中の体調が思わしくないとの申し送りを受け、その方のことを色々想う夜。
調理中の火を消して電話相談を受ける夜。
救急車搬送をしていただくよう電話でお話しする夜。
深夜、訪問看護にうかがう夜。
訪問看護から戻って布団に横になるものの、利用者さんのことが気になり眠れない夜。
昔、長男がまだ小さいころ、
「お母さん、行かないで!お母さ-ん。」
夫に抱えられ泣きじゃくっている長男に見送られながら、自宅を出発した夜もありました。
同じ夜。
何かあれば、看護師さんに相談すればいいからと安心して夜を迎えられるご本人やご家族。
苦しさや痛みがなく、夜を過ごされる方。
急な発熱や痛み、苦しさや体調の変化で眠れない方。
夜も介護をしながら、側についていらっしゃるご家族。
心配で、迷った挙句お電話をくださるご家族。
オンコールの電話連絡頻度は、その時々の利用者さんの状態や、医療依存度の高い方、お看取りの方がいらっしゃるかどうか等により異なりますが、オンコール当番の責任感と緊張感は独特のものがあります。
とりわけ、訪問看護に従事して年数の浅いスタッフは、電話連絡があってもなくても、オンコールの夜は眠れぬ夜を過ごしているようです。
(昨夜はほとんど眠れませんでした)という顔で、翌日出勤してくるスタッフもちらほら。
ただ一つ言えることは、オンコールをこなすようになると、訪問看護師としてのスキルは格段に上がるということだけは間違いありません。
またそれとは別に、オンコールの体制、フォロー体制、教育体制、ITの活用、訪問のための移動に伴う安全性、スタッフの身体・精神の休息など、よりオンコール体制がスムーズに機能するための改善点は、わが看護部門の課題でもあります。
私達の眠れない夜があるからこそ、安心して夜を過ごされる方がいらっしゃる事を励みに。