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だれのためのなにをどうする

だれのためのなにをどうする

こんにちは、言語聴覚士の池田です。

先日友人と出かけた時のこと。
昼食をとろうと、あるお店に入ったんです。

実は私はかなりの少食で、波はありますが、1度の食事で1人前がほとんど食べられないこともあります。
その日もそんなに食べられない気がしたので、友人はセットメニューとデザートにしましたが、私は小さなグラタンとデザートにしよう、そう思って店員さんにそれぞれ伝えました。

友「私は〇〇セットと、デザートにこれを」
私「私はこのグラタンと、デザートはこれで」
店「…お客様、この単品のグラタンでは足りないですよ、かなり小さく作っておりますので」

私「あ、それでいいんです、お願いします」
店「普通は追加の注文に頂いたりするくらいのサイズなんですよ、(両手でわっかを作りながら)このくらいの」
私「いえ、私少食なんです、小さくて構わないんです」
店「いや、そうはいっても…」

なぜかこの押し問答(?)が何往復か続き、店員さんはいかにも仕方なく、といった風にゆるゆると去っていきました。

結果、直径10㎝に満たないほどの器に入ったグラタンでも、私にはぎりぎり食べ切れる量で、その後のデザートもおいしくいただくことができました。
が、なんだか残念な感じが漂ってしまい、もやもやしたままその店を後にしました。

きっと店員さんは、良かれと思って私に“助言”をしてくれたんでしょう。
おいしい食材を使ったこだわりのメニュー、お得にいろいろな料理を楽しめるように小鉢をたくさん添えたセットメニュー、それではなくこの小さなグラタンを選ぶなんて。
そんな風にでも思ったでしょうか。

この短い時間でも、私の気分を重くさせるには充分でした。私にとっては不要な“助言”だったからです。
少食の私にとって、明らかに多いとわかっている食事を注文し、想定通り残さなければならないことはストレスですし、もったいなくて仕方ない。摂食ペースも遅いため、同席者には気を遣う。頑張って食べろと言われることも辛い。
だって食べられないんだから。
でもそれを店員さんが知らないことも知っている。それにしたって。

それでは足りない、普通はこうする、それは何が基準だったんでしょう。
あなたを思って私はこうした。それは「あなた」のため?それとも「あなたを思った私」のため?「私」が、それとも「あなた」が望んでいた?
結局、誰が誰のために何をしたんでしょう。

臨床場面に置き換えて考えてみると、恐ろしいですね。人によっては、全く気付けないことなのかもしれない。でも確実に良好な関係も、楽しい空間も歪むのです。

私たちこそ、“私たちの描いた”利用者様の自己実現や目標に向けたリハビリを推したくなる場面で、一拍置いて思いを巡らせてみなければいけませんね。
たとえそれが、純粋に相手を思った“つもり”でも、全ては結果論です。

なんてことのない友人との食事でしたが、こんなことを思った、思いがけず実りある時間になりました。

毎日の一瞬一瞬、まずは丁寧に進めたいものですね。