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ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その⑱ 何が正解なのか 

ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その⑱ 何が正解なのか 

こんにちは。看護部門・副管理者の大塚です。

訪問看護に携わって気が付けば20年余り・・。

「昔もあって、今も変わらないもの」「今までも、これからも大切にしたいもの」をぼちぼち綴ります。

90歳後半のIさんは特に大きなご病気はありませんでしたが、この数週間で食事がとれなくなり、医師より毎日補液の為の点滴の指示が出たため、訪問看護を利用されることになりました。

ご依頼を頂いた時、お看取りを視野に入れた対応となることが予測されました。

初めてご家族とお会いした時のことです。
「点滴は延命処置なのですか?母は歳ですし、点滴で良くなるのでしょうか?

母のことは先生にお任せして、先生の指示に従うものだと思っていますが、家族の考えを先生にお話していいのでしょうか?
今日の様子を見ていると、もう、母の寿命はそんなに長くないと思っていいのでしょうか?
私が決めていいのでしょうか?
何が正解なのか、私にはわかりません。」

ご家族はいろいろな想いが巡っていらっしゃったようで、私に何度も同じ話や質問をされ、ご自身の考えや迷いを整理されている様子でした。

後日、私達も含め、主治医、ご家族と話し合いの機会を設けることになりました。

訪問看護を利用していただく方、またそのご家族も、自宅療養中に決断をしなくてはいけない場面があります。

多くの方は迷い、気持ちが揺れます。

今まで私が訪問看護で関わらせていただいた方々も、色々な決断をされてきました。

・「点滴も何もしないで後は自然に任せたい」
・「水も飲めないのはかわいそう。点滴ぐらいはお願いしたい」
・「自宅でできる範囲の対処を受けて、最後まで自宅で過ごしたい」
・「少しでも可能性があるのなら入院して治療したい」
・「痛みや苦しみがないようにだけはして欲しい」
・「胃瘻を作るのは嫌」という一心で食事を食べるようになられた方
・「肺炎のリスクが減って栄養がとれるなら」と胃瘻の手術を受けられた方
・「将来、気管切開が必要な状態になっても希望しない」と決めていらっしゃる方
・気管切開や人工呼吸器を使用して在宅療養を始められた方

― 何が正解なのか ― 
唯一、これが正しいということではなく、「正解はたくさんある」のだと思います。
もちろんメリット・デメリットを考慮した医学的な判断や助言は必要です。

それに加え、ご自身が歩んでこられた人生や価値観、今の想い、ご家族との関係、家族の中でのご本人の役割。

ご家族の人生や価値観、想い。
それらをひっくるめて、ご本人とご家族にとって最良と思われる選択がその方とご家族にとっての「正解」となるのではないでしょうか。