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「ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑤ 答えの無い問い」

「ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑤ 答えの無い問い」

こんにちは 看護部門・副管理者の大塚です。
~私が訪問看護の世界に飛び込んで、かれこれ20年。「昔もあって、今も変わらないもの」
「今までも、これからも大切にしたいもの」そんな日々の想いを、ぼちぼちお届けいたします~

Sさん。
武道を趣味とされ、戦後生まれの男性らしく無口で無骨な感じの方。
がんと診断され、余命3ヵ月と医師より宣告をうけてから1年半が経ちました。
週1回、状態チェックと、自宅での入浴の介助でお伺いしていました。
浴室でも自分からはほとんどお話しされないのですが、時々、自分からお話をされます。
「どうしてこんな病気になったのだろう?」
「余命3ヵ月と言われてから1年以上も生きているのはどうしてだろう?」
「もし、あなた(私に向かって)のご主人が同じ病気になったら、どうする?」
私には答えが見つかりませんでした。

Sさんの奥様。
旅行が趣味でしたが、御主人の病気がわかってからは一生懸命、ご主人の介護に時間を費やされていました。

ある日、ご主人が席を外されたときのことです。
「夫が私に向かって、『俺が早く死んだ方がいいんだろう!』と言うんです・・・。
こんなに一生懸命やっているのに・・・。何でそんなことを言うのでしょうか」
奥様は泣きながら、私に話されます。
私は奥様の涙が止まるまで、黙って話を聞いていました。

訪問看護でお伺いすると、様々な質問を受けます。

1つに「答えてあげられる問い」です。
生活で何に気をつければよいのか、何をどのように食べればよいのか、褥瘡の手当はどうすればよいのか、
なぜ痛みがあるのか、どのように薬を飲めばよいのか、熱が出た時どうすればよいのか・・・・・・。

それらは、私自身の学習や研修、知識や技術を積み重ね磨くことで対応することができる問いです。
私は今まで、1つでもその引き出しを増やすことを努力してきました。
引き出しはずいぶん増えたと思います。
今なら、「あの時、もっとこんな風にしてあげられた、答えてあげられた」と思う問いがたくさんあります。

もう1つは「答えの無い問い」です。
「どうして私がこんな病気になったのだろう?」
「どうして私だけがつらい思いをしなくてはいけないの?」
「どうして良くならないの?」
「どうして健康に生んであげられなかったのだろう?」
「もう、終わりにしたい」
どんなに探しても、答えが見つかりません。
どんなに学んでも、力になれないことがあります。

答えの無い問いを向けられた時、答えが見つからない自分が、とても無力に思える時があります。

私にできる事。
私自身の無力さを認める事。
答えることができなくても、そばにいる事。
その問いから逃げないで、最後までかかわり続ける事。