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「ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑨ 切ない告白」

「ぼちぼち訪問看護~回想録~その⑨ 切ない告白」

こんにちは。
看護部門・副管理者の大塚です。
~私が訪問看護の世界に飛び込んで、かれこれ20年。
「昔もあって、今も変わらないもの」
「今までも、これからも大切にしたいもの」そんな日々の想いを、ぼちぼちお届けいたします~

45歳の難病で寝たきりの女性、Hさんのお宅に週1回お伺いしていました。
徐々に進行していく病気で、自力での呼吸もままならず、顔にマスクを取り付けるタイプの人工呼吸器を使用されていました。
食事も排泄も、すべての生活について援助が必要でした。

Hさんはご両親と3人暮らしで、もうすぐ80歳を迎えられるご両親がHさんの介護をされていました。
Hさんにはお姉さんがいらっしゃいましたが、お姉さんも同じご病気ですでに他界されていました。お姉さんもご両親が介護されたそうです。

少し気ままにマイペースで過ごされることが多かったので、私は毎回訪問のたびにHさんの血液データなどを示しながら、少しでも良いコンディションが保てるよう生活の注意点や、人工呼吸器の使用法についてお話をしてきました。

ある日、Hさんのお父さんが私に向かって静かに言われました。
「あなたが、こうして家まで来てくださって、娘のことを思っていろいろしてくださるのはよくわかる。本当にありがたいと思っている。
でも、私たち夫婦も歳をとって、二人とも、もうすぐ80歳です。長女も看取りました。
もう、私たちは毎日この子の世話をしていくことが本当につらい。
いっそ・・・。とさえ思ってしまうことがあります。
だから、どうか、もう、私たちをそっとしておいてください。」
Hさんは、お父さんの話を黙って聴いておられました。
Hさんのお母さんは、黙って下を向いておられました。
『これが現実なのだ』と。

その後、しばらくしてHさんの訪問看護は終了となりました。
「看護師として求められる役割を果たすことに一生懸命だった自分。
何が正解だったのか。本当は何をすべきだったのか。」私に宿題が残されました。

あれから、Hさんとご両親はどうされたのか。
もう、ずいぶん前の出来事ですが、今でも時々思い出します。
そして、未だに私はその宿題の答えを出せていないことに気づかされます。